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鳥山明の功績

ドラゴンボールの奇跡

少しの間ひきずりそうな、訃報がありましたね。

そうですね。

今日は一ファンとして、DragonBall(ドラゴンボール)という漫画のすごいところ を自己満足に語ることにします。

鳥山明といえば、イラストというか画力がすごいことで有名ですよね。

まぁ、それはいたるところで言われていることなので、ここでは作品として何がすごいのかを 語ろうかなと。

ドラゴンボールってどういう漫画なのですか?バトル漫画ですよね?

一般的にはバトル漫画と言われているようです。ですが、読んでみるとその奥の深さに 感銘を受けますよ。なんでか、ヒューマンドラマの要素もあるんですよね。だから、大人が 読んでもおもしろいと。なんというか、アクションは子供向け、人間関係は大人向けなんですね。

なるほど。バトル以外の要素にもおもしろさがあるということですね。

あります。まず一番おもしろい点は、宇宙人が地球を守っているというところ。

宇宙人がわざわざ地球にやってきて、地球を守るんですか?

おもしろいところはですね、地球を守っているのに、の「のに」なんです。

具体的に言ってください(笑)

地球を守っているのに、当の宇宙人は地球防衛の意思がまったくないんです。

どういうことですか?

結果的に地球防衛をしていますが、主人公ですら地球人の安否は二の次なんですね。
「でえじょうぶ、ドラゴンボールで生き返られる」
は、そういう背景もあって名言となっています。
地球防衛の最前線で戦っている宇宙人は、主人公含め、自分より強いやつが気に食わない、という理由だけ で戦っているんです。だから、たまたま地球にやってきた侵略系宇宙人をやっつけるわけですね。

すごい構図だ。

まず初期のころから見ていきましょう。 初期のころは、カンフー色の強い世界観になっています。タイトルのドラゴンボールを集めるという コンセプトになっています。

宇宙人がドラゴンボールを集めるのですか?

そこは読んでのお楽しみですが、しっぽの生えた主人公が天才地球人と知り合ってドラゴンボールを 探すことになります。天才地球人は、ドラゴンボールの位置がわかる機械を持っているんですね。

あっ!知ってます。ドランレーダーってやつですね。

そのドラゴンレーダーを第一話で出してしまうという作者の勇気すごくないですか? 素人考えでいうと、ドラゴンボール探すのに苦労しながら~みたいなストーリーにしそうですよね? それを、ドラゴンレーダーによって、レーダーに映った場所に行くだけという、目的の遂行を簡単にしてしまう 作者の勇気ですよ。ここもすごいところなんです。

言われてみればそうですね。ドラゴンボールという謎をふっかけたまま、その背景なり歴史なりってのが あとからわかってくるストーリーってのが、よくある漫画ですね。

ドラゴンボールはそういった謎のふっかけと、じれったい伏線回収はないです。

伏線回収は確かにじれったい。読んだら最後、面倒なだけですよね。

ドラゴンボールは7つ集めたら願いが叶うし場所もわかる、ってのを第一話で言ってしまうのですね。

言われた方が確かに後先読みやすいかもしれないですね。特に子供は。

で、ドラゴンボールのある各場所でいろんな問題が起きるとか、強い奴にでくわすとかで、 バトル漫画の要素を強く出していくわけです。

なるほど!強くて悪い奴から奪うという形になっていくわけですね。

一番最初にドラゴンボールが集まった時は、爆笑なのでぜひ読んでいただきたい。 ですが、ここからの方向転換がまさに天才。 主人公悟空が、「修行してもっと強くなりたい」と 言ってドラゴンボール集めから、格闘にコンセプトチェンジするんですね。 悪く言えば「後付け設定」なんて言われ方されますが、ちゃんと「もうドラゴンボール集めは必要ない」と いう筋も通しつつ、自然に物語の軸を変えていくわけです。 また「もっと強くなりたい」が最後までブレない主人公のブレない芯となっているんですよ。

ストーリーの設定自体は後付けの箇所もあるかもしれないけど、ウケる方向はきちんと見えていたのですね。

ここからドラゴンボールメソッドになるわけです。
強敵現る→主人公ピンチ→サブキャラ戦う→やっぱりピンチ→主人公復活→倒す

それだけ聞くと読む気失せるんですけど

かもしれないですけど、原作のじれったさを感じさせないスピード感はまさに秀逸。

そうなんですね。

で、いわゆるアニメでいうところのドラゴンボールZですね。具体的には主人公孫悟空が宇宙人という設定になったあとです。

設定が公開された後ですね

ごほん。ここから、ヒューマンドラマのエッセンスが入ってくるわけです。まず、最初のフリーザ編では、強敵が 「永遠の命」を目的にドラゴンボールを狙い始める。

おおお、なんか禁忌ですね

フリーザ編で出てきたライバルと言えば、ベジータです。ベジータはもはや2番目の主人公と言ってもよいくらい いい味を出してきます。
ベジータは貴族や公家ではなく、王族なんです。それも戦闘民族の王族です。王族=優等生というプライドを持っているので、 自分より強いやつが絶対に許せないし、危なそうな種は殺さないといけないと思っているわけです。このプライドがとっても いい味出すんですよ。

プライドの高い人って私無理だわ

ベジータは、フリーザ編では宇宙の帝王と呼ばれているフリーザやその直近には勝てないんです。 でもその悔しさが・・・

なんですか、いいところで止めないでください。ネタばれですか?

この辺りはぜひとも読んでほしいですね。 もともとプライドだけの嫌な奴なんですが、それがだんだんと高貴な誇りに見えるようになっていくんですね、読み進めると。
でもそんなプライドの高いベジータなんですが、ちょいちょいキャラ崩しという方法でいじられます。

読んでみたくなってきますね

フリーザ編が終わると、孫悟空やベジータのような宇宙人勢の力が強すぎるので、地球人がついていけなくなるわけですが、 この後、地球に孫悟空やベジータより強い敵が現れるんですね。これもまたすごいんですけど。

なんでですの!?

それはまあ読んでください。でもそんな折、ピッコロさんというZ以前から地球征服という野望を抱いている宇宙人がいるわけですけど、 ピッコロさんの名言が飛び出るんですよ。
「仲間だと?・・・いつから貴様らの仲間になった!?」
10分前まで一緒に戦っていたクリリンに言うんですね。

クリリンショックですやん

でもここではっきりするんです。どの登場人物もただ「誰よりも強くなりたい」だけだってことに。ベジータは戦闘の天才で冷静な ところもあるので、自分より生まれの格下の孫悟空が「強い理由」をずっと分析してるんです。
ジャンプ王道の「友情」ではないんです。登場人物の方向性が全員一致している、つまり情けで地球を守っているわけではなくて、 誰もが「一番強い」存在になりたくて、修行していくんです。
天才肌のベジータが日々トレーニングして、下級戦士の孫悟空が死後の世界で強くなり、ピッコロさんは裏技で強くなっていく・・・けど、 誰もお互い認めないんです。こんな面白い構図あります?

つっこみどころ多いですね

最後の最後は、ベジータも孫悟空を認めるわけですけどね。3秒後に意見が食い違うんですけど(笑)

なんか眠くなってきました。

そうですね。おもしろい漫画のおもしろさを伝えようと思ったけど、これは無理だ。読まないとわからん。ぜひ読んでください。